2020.06.16

まことさん

山崎誠さんといえば大成建設株式会社安全本部が製作した教育動画スーパー職長シリーズ「ちょっと強面?鳶の職長ってどんな人?」に出演するなど金子建設工業を代表する有名人です。

 

そんな山崎さんがこのたび「1級建築施工管理技士」に合格されました。
誠に―洒落じゃないですよ―おめでとうございます。頑張りましたね。

 

受験申込をされる際に、実務経験証明書をこしらえてくれないかと内緒で頼まれておりました。
現場ではあれだけ自信満々、威風堂々、貫禄十分な山崎さんが、蚊が鳴くよりかはほんの少しだけ大きいくらいの声で

「だれにも言わないでください。落ちたら恥ずかしいですから」と申し訳なさそうに 電話をくれたことを思い出します。
ちょっとだけ聞かれてほしくないことバラしてしまいましたかね。山崎さんごめんなさい。

でも、ちゃんと合格し、晴れて公表することができたのだから良かったではないですか。

 

仕事をしながらの勉強は生やさしいものではありません。

山崎さんは新国立競技場整備事業の現場代理人、安全衛生責任者、主任技術者として就労しておりました。
ご存じのとおり工期が厳しく突貫でしたから身体はきつかったでしょうし、盛期には20人以上の鳶工さんの頭に立っていたのですから精神的にも厳しかったことでしょう。
「新国立に乗り込んだとき、自分はこの仕事に向いていないんじゃないかと思った」と話してくださったときは驚きました。
いままで20年のあいだ仕事ぶりを拝見しておりますが、そんな弱音を聞いたことはなかったからです。
すでに工期は大きなヤマを越えた後半で、骨を折ったことを振りかえる余裕がでてきた頃のことではありましたが。
ああ、すみません、またしても聞かれてほしくもない余計なことを暴露してしまいましたかね。重ね重ねごめんなさい。

 

煮詰まって、頑張って壁を乗り越えそのぶん成長し、また煮詰まって、もういちど頑張って乗り越えさらに一だん成長する…
その繰り返しで力をつけていきキャリアを積み増していく、修練の道はみな同じでしょう。
職場で自身の技術研鑽や配下の職人さんへの指導を果たし、建物をこしらえる一翼を担って、身もこころも疲れて家に帰ったあとで机に向かう。

 

常に自分を高めていこう、そのために勉強してスキルアップしよう。思い立ってもなかなか実現できないものです。
今日は疲れているしお酒を飲んで寝ちゃおうとか、見たいテレビがあるから勉強サボっちまうかとか誘惑があったはずです。

きっと山崎さんの頭のなかでもサザエさんのカツオくんよろしく黒い悪魔と白い天使が角突き合っていたことでしょう。
努力を貫くのは困難だったでしょうが意志が強いのでしょうね、立派にやりぬきました。

 

もちろん周りの、家族の、とくに奥さまの支えがあってのことでしょう。
奥さまとお話しさせていただいたときに「筋トレばっかりやってるんです」と笑ってらっしゃいましたがご謙遜だったのですね。
うちのひと一生懸命に机に向かってます、なんて声高に主張されない素晴らしい奥さまじゃありませんか。
金子建設工業の職人さんは、仕事のできぐあいを現場でどれだけ主張できるかにこだわりを持っていました。
だから業務に不可欠なもののほかはあえて資格取得に挑戦しない伝統があったように感じます。
それが、ここ数年で変わってきて、2018年に4名が1級とび技能士に合格し、昨年も2名が合格しました。
山崎さんを例にすれば、

 

2018年 1級とび技能士
2019年 登録鳶・土工基幹技能者
2020年 1級建築施工管理技士

 

とステップアップしています。
人生を送るなかで学ぶことを継続し、その結果かたちとなるものを得る。
本人にとって嬉しく、また自信につながることでしょうし、他人様の見る目も変わってきます。
長い職人生活の中できっと大きな財産となるはずです。
現在、新型コロナウイルス感染症による社会情勢の変化で残念ながら金子建設工業も施工量が大きく減少しております。
逆に、こんなときにこそ教育訓練を行なったり資格取得を支援するのも良いのかな、と思いはすれど、人がたくさん集まるのはリスクがあるし…難しいですね。
ともあれ、職人さんたちに力をつけていただき、みんなが良い仕事をして会社を盛りたてていく、そんな好循環で進んでいけたら良いですね。
来年はとても忙しくなる予定です。来たる繁忙期を見据えて、前を向いて頑張っていきましょう。

 

 

  

 

  

教育動画スーパー職長シリーズ「ちょっと強面?鳶の職長ってどんな人?」での山崎さんです

 

 

 

※おめでとうの2
このトピックスをご紹介しようと思いたったところ、建設業労働災害防止協会東京支部より安全優秀職長賞が山崎さんに贈られたとの報が入りました。
表彰式は新型コロナウイルス感染症拡大防止のために残念ながら中止となりましたが、会社に表彰状が届きました。
いま山崎さんは福島第一原発で復興プロジェクトの作業に従事しており、賞状がお手元に届くのはちょっと先になりますがあらかじめ申しあげておきます。
おめでとうございます。これからもお身体ご自愛され、元気にご活躍されるようお祈り申しあげます。

 

 

建災防よりの表彰状です。本日2020年6月16日に届きました。